業界の定期刊行物や市場分析評はシェープ、サイズ、カラー、およびクラリティを元にダイヤモンドの見積もり価格をだし、プロポーションやフィニッシュに関してほとんど、あるいは全く言及していません。
大半の業者はメイクがそこそこのダイヤモンドを扱っていますが、大きいディーラーはカットに基づいている2、3種類の価格範囲を提示することもあります。
メイクの極端な違いに直接起因する価格の差が間違いなく存在し、ファンシーシェープではその影響が非常に大きくなることが度々あります。
変化が軽度の場合、価格変化は予想できませんし、正確に設定するのは非常に困難です。
プロポーションを十分把握しているジュエラーにとって、これは特に仕入れをする場合に実際、有効に活用することができます。
大半のジュエラーは最も人気のあるスタイルやサイズの典型的なものをある範囲のサイズやカラーおよびクラリティグレードで集めることが、バランスのとれた完全な在庫という印象を与えるために欠かせないと感じています。
しかし、容認できる範囲のプロポーションからかけ離れた石を見かけることは滅多にないので、メイクに注意を払う人はほとんどいません。
つまり、メイクを判断できるとダイヤモンドの仕入れに本当の強味となります。
例えば、ブリリアンスとディスパージョンとのバランス、もしくはある重量の見かけの大きさに影響を与えるガードル直径と重量との関係には明瞭な相違があります。
ファンシーシェープでは実用性が関心事となります。
既成の枠をほとんど、あるいは全く改造しなくてもそれに合う石を選ぶことが重要です。
しかし例外的に高価な石の場合は、特異なカッティングに合う(もしくは引き立てさえする)枠を作るという手間をかける価値があります。
店が特別注文に応じている場合は、ディーラーが始末したがっている風変わりなファンシーシェープを魅力ある新製品にするのにちょうどよいことになります。
輪郭や長さと幅の比率の微妙な違いによって、ケースに入れたその日に5人の客がその石について尋ねるか、あるいは売れるまでに5年も埃をかぶっているかが決まることもあります。
プロポーションの評価はメレーやバゲットの選別でも重要です。
これはグループやクラスターとして使用するので、この効果は光の現れ方の均一性すなわちプロポーションの均一性に左右されます。
裸石のメレーやバゲットを購入する場合は、プロポーション上の変化を最小にし、在庫の用途を可能な限り広くする必要があります。
枠付きのメレーを購入する場合は、不適当な組み合わせによるむらのないことに注意する必要があります。
最後に競売や個人からダイヤモンドを購入する場合にもメイクの判断が重要です。
(多くのジュエリー専門家にとって定職についていない限り、これは有利な副業となります。)
古いスタイルのカットはそのまま販売することもできますが、再び人前に出す前に再カットされることが多くなります。
このような石の売買で利益を上げるには再カットによって得られるシェープや重量を推定できるだけの十分なプロポーション判断能力が必要となります。