長い間、人々はクラリティ特徴をフロー(傷)やインパーフェクション(不完全さ)として否定的な用語とみなす習慣がついています。
目に見えるインクルージョンが石の外観をそこなうことも事実です。
(インクルージョンを好むジェモロジストさえこれには同意します。)
しかし、これはジュエリーに用いられるダイヤモンドのほんの一部にしか該当しません。
ある種のインクルージョンによって、石が破損しやすくなるのも事実ですが、これも目に見えるインクルージョンがある石のほんの一部でしかありあせん。
従って、クラリティ特徴を顧客が避けねばならないものとして示す理由は全く無いのです。
実際にこのために価格が低くなるので、これによって石が「悪くなる」と考えがちです。
しかし通常、クラリティ特徴はジュエリーで着用すると石の外観や耐久性には影響を及ぼしていないのです。
これはダイヤモンドを扱う仕事をしている全ての人にとって非常に重要でもあります。
例えばカッターが不規則な形の原石のカッティング方向を決定する時に役立つ事が多いのです。
結晶の成長方向に沿っているインクルージョンは手がかりとなるので、カッターは対称形の素材をカッティングしている時のように自信を持って作業する事ができます。
研究者は、内包結晶がダイヤモンド形成の地質学に関する貴重な情報源であることを発見しています。
これは新鉱床の発見やダイヤモンド合成の工程の改良にとって非常に貴重なものです。
顧客に対しては、インクルージョンがダイヤモンドと類似石の判別に役立つと指摘できます(また指摘すべきです)。
ダイヤモンドのインクルージョンは独特で、経験を積めば通常のインクルージョンやインクルーテッドダイヤモンドの外観がよくわかるようになりますので、見れないインクルージョンだと(もしくはインクルージョンが全くないと)疑問を持つようになります。
インクルージョンだけで、ある石がダイヤモンドであると断定できることが度々あります。
これとは逆に、ダイヤモンドではないと断定できる類似石(独特のインクルージョンや他の特徴)もあります。
さらに、類似石ではインクルージョンの無い方がダイヤモンドより多いので(つまり、インクルージョンのある類似石は通常排除されるので、よりクリーンである場合が多い)、明瞭なインクルージョンが無いということは、それがクラリティの高いダイヤモンド、もしくは類似石であることを意味し、いずれの場合も、再度見直す必要があります。
第2に、ダイヤモンドのインクルージョンは同一性の証拠のひとつであり、他のダイヤモンドとも区別がつけられます。
これによってグレーディング時のダイヤモンドの図面が用意でき(インクルージョンのあるダイヤモンドはいずれも独特のものであり、2個の石が重量が等しく、寸法も同じで、その上クラリティ特徴も同じという可能性は殆ど無い)、後にこれを石の同一性の確認、及びフェザーやチップ等の特徴がその後の破損により生じたものか否かの決定に使用することができます。
そして店の専門技術や専門知識を強調する効果的な販促の道具ともなります。