例えば、顧客の多くはダイヤモンドというと自動的にラウンドブリリアントと考えます。
しかし、友人、同僚あるいは親族の指にマーキース、エメラルド カット、その他のシェープを見たことがある人もいます。
ダイヤモンドがどのようなものか予備知識を持たずに店に入ってくる人も少しはいます。
それにもかかわらず、時にはほぼ無意識の選択としても、顧客が最初に決めるのは通常のシェープです。
何故、特定のカットが魅力的であるのか実際に示すことができれば、顧客は店をさらに信頼し(店の協力で)より良い買物ができるのです。
ジュエリーに通常使用されるサイズ(例えば2ないし3カラットまでは)標準ラウンドブリリアントカットが圧倒的に人気があります。
その理由のひとつに完璧な対称性があり、これによってブリリアンス、ファイアー、シンチレーションが均等に現れます。
標準ラウンドブリリアントには58のファセットがあります。
クラウンには大きい八角形のテーブルが1面あり、三角形のスターファセット8面に囲まれています。
西洋凧形のベゼルファセット(クラウンメイクとも呼ぶ)8面がテーブルの角からガードルエッジまで放射状に延び、三角形のアッパーガードルファセット16面は対になってクラウンの周囲を囲んでいます。
パビリオンにはキューレットと呼ばれる小さいファセットが末端にあり、これによって砕けやすい尖端に仕上げをしています。
(小さいラウンドブリリアントはキューレットをつけずにカットすることもあるので、ファセットが57面となる場合があります。)
キューレットから細長い西洋凧形のパビリオンメイク8面がガードルの縁まで延び、対になって配置された細長い三角形のローワーガードルファセットがこのメインを分離しています。
原則として、大きい石のほうが小さい石より多くのファセットを必要とするので、シングルカット(非常に小さいラウンド)に17面しかファセットがないのはこのためです。
このカットはテーブルを含めクラウンファセットが9面、パビリオンファセットが8面で、通常キューレットがありません。
シンチレーションもその理由のひとつで、これは石、光、もしくは見る人の動きにつれて、光が石のファセットから反射して見えるきらめきです。
良好なシンチレーションのためにはファセットは反射が大きなぎらつきではなく、小さく輝いた明瞭な個々の反射を生じさせる十分な大きさを必要とします。
ラウンド以外のすべてのシェープは、ファンシーシェープもしくはファンシーカットと呼ばれています。
原石の形が、加工仕上げした石の形を決めることが多くなります。
標準ラウンドブリリアントは業界の主流ですが、ファンシーシェープも人気があります。
これは大きいサイズの場合に好まれています。
2ないし3カラットを超えるとラウンドが少々派手に見え始め、ファンシーカットが一般に、より魅力的と考えられています。
(世界で最大の10個のファッション加工ダイヤモンドのうち、ラウンドは235.50カラットのデビアス1個だけです。)
特に人気のあるファンシーシェープはマーキース、ペアー、オーバル、およびエメラルド カットです。
ハート、クッション、トライアングル、および数多くのパテントつきのカットは概してそれほど一般的ではありませんが、特定の市場では良く売れています。
その他のカットは、規則的および変則的な幾何学模様があります。
魚、鳥、蝶、馬の頭、四つ葉等の動植物の形、十字架、星、盾、半月等の象徴的および描写的な形がありますが、これは非常に珍しいものです。
その魅力の大半は斬新さによるものですが、あなたの品揃えに特別なおもしろさも加わり、創造的な販売の機会が生じます。
ファセットデザインの用語に関しては、マーキース、ペアー、オーバル、およびハートの大半は標準ラウンドブリリアントの応用で、通常ファセットのタイプは同じですが数および形状はガードルの輪郭に合うよう調整してあります。
このような石はメインの数で例えば6メインオーバル、7メインペアー、9メインハート等と命名されていることが多くなります。
ファンシーシェープの多くはキューレットを細長くしたり、パビリオンがキールラインとして知られる稜線を形成するようカットされています。
マーキース、ペアー、ハート等の先のとがったシェープは尖端の大きなベゼルの代わりにフレンチティップをつけてカットされることが多くなります。
ステップカットで最も人気のあるスタイルは、エメラルドカットで他のステップカットの大半はこの基本的デザインの応用です。
ラウンドと同様エメラルドカットにも通常58のファセットがあり、25面がクラウン、25面がパビリオン、8面がガードルです。
テーブルの角が斜めに切ってない場合には、上部の角にもファセットが3列あり、通常キューレットは細長くなります。
バゲットは角を斜めに切らず、通常ファセットは2列しかなくて、長方形もしくはテーパード(先細り)のこともあります。
ブリリアントとステップのファセットが混合しているダイヤモンドをミックストカットと呼びます。
最も一般的な配置はクラウンがステップカットでパビリオンがブリリアントカットですが、逆になったり、両方のタイプのファセットが同じ側にあることもあります。
ファセットのデザインが変わると時折カットの業界名も変更され、特許のあるデザインもあります。
誤解を避けるためにシェープとファセットのスタイル両方の用語(トライアンギュラーステップカット、オーバルミックストカット、スクエアブリリアント)で話し、メインが8面以上や以下の場合はその数も示すのは最適である場合が多くなります。
シングルカットおよびバゲットは例外で、この名称で表示しましょう。
特許のあるカットを見せるときは、セールスポイントのひとつですので販売説明にその名前を入れましょう。
シェープは種類によって人気に差があり、したがって価値にも差が出ます。
米国ではほとんどの宝石小売店で売られているサイズではマーキースはラウンドよりわずかに高いことが多く、他のファンシーシェープは安くなることが多くなります。
ヨーロッパおよび極東ではラウンドのほうが好まれ、その結果価格も高くなります。