顧客が修理や鑑定のために店に持ち込むダイヤモンドは一般に枠が付いている上、素人の客は自分の石の重量を知らない場合が殆どです。
そのような客が傷や破損のあるダイヤモンドを取り換えるために持ち込んだ場合、残っている部分の寸法測定によって、石の元の重量を推定するしかない場合すらあります。
在庫として仕入れる場合、重量を推定する練習をしていると支払いの正当性の確認の際に役立ちます。
人々は、ジュエリーに枠付けされたダイヤモンドの全体重量を不正確に言う事が知られています。
石を枠からはずして重量を測定しない限り、僅かな不一致を確かめるのはむずかしいですが、測定を慎重に行って記載された重量と推定した重量を比較すれば、かなり大きな相違を度々見つける事ができます。
ダイヤモンドの専門家の中にはダイヤモンドの大きさと重量の関係を非常によく知っていて、驚くべき一貫性と正確さで重量を見抜くことのできる人がいます。
しかし、このような推定が、かなりの近似値で顧客を驚かせたとしても、より精密な数値を示すと大抵の人々はもっと感動します。
売り手は石を一目見て、約0.25カラットと自信を持って言えます。
しかし石を慎重に測定して計算機で何回か数字をたたいた後で推定値を言った方が、顧客はもっと安心するでしょう。
そして重量に関する訴訟などの審問などで、どのようにして推定重量を出したか尋ねられたとしても、「慎重な測定と広く認められた重量推定公式」という答が常に最良なのです。
重量推定公式は、カッティングプロポーションがかなり狭い範囲にある場合は非常に正確ですが、プロポーションが変化すると精度に影響を及ぼします。
ガードルの厚みによって常に重量が変わりますし、ファンシーシェイプの場合はガードルの輪郭の違いやパビリオンのふくらみも相当影響します。
このような変化に対応する処理方法として、熟練したグレーダーや鑑定者は変化の種類と程度によって2%から20%あるいは25%を推定値に加えています。
正確な測定と適切な調整を行えば、一貫して10%以内で重量を推定できます。
従って、1.00カラットと推定された石は実際には0.90~1.10カラットでしょう。
たとえそうでも、0.01カラットが数百ドルに相当する場合には、費用と危険を伴うとしても石を枠から外すだけの価値はあります。
依頼を受けた鑑定書または他の商売上の書類に推定重量を記録する場合は、「公式によって推定した枠付き重量」という句を使用します。
この句は、限られた条件下ででき得る最高の作業を明らかにすることになります。
正確な推定を行う本当の鍵は経験です。
裸石で練習すれば結果を確認し、どこが間違っているか調べて調整技術を洗練する事ができます。