結晶が形成された時の条件が、結晶の成長や化学組成の純度、結晶構造の均一性などに影響を及ぼします。
実験室で合成ダイヤモンドを成長させる場合は、望ましい特徴を持つダイヤモンドを作れる条件を管理しています。
しかし天然ダイヤモンドが成長する環境は動的で調節されておらず、温度や圧力、あるいは化学成分の混合率が多様です。
これらの相違が結晶の大きさを制限したり、結晶の形を歪めることもあります。
ダイヤモンドが成長する場所にその結晶があると、成長するにつれてダイヤモンドの中にその結晶が捕らえられることもあります。
この結晶はカッティングの際に除去しない限り、ファッション加工した石の中にインクルージョンとして残ることになります。
結晶構造内の不純物や不規則性も色や結晶の形に重要な影響を及ぼします。
鉱物自体の組成の一部ではない個々の原子または原子のグループ成長中の結晶に捕らえられることがありますが、その場合は次のような興味深い結果を伴います。
例えば、ダイヤモンドに見られる最も重要な(そして一般的な)不純物の1つである窒素は黄色を発生させ、ある種の結晶体の形成を促進します。
数多くの要因が、結晶構造の均一性と完全性に影響を及ぼします。
上記のような不規則性による結果とみなされている色もあるし、成長環境での圧力の不均一性や化学不純物、内包結晶が構造上の歪みやフラクチェアーを生み出すこともあり、結晶を粉々にする場合さえあります。
可能性の範囲と結果の多様性を考えると、原石ダイヤモンドの結晶構造内の化学不純物や形のゆがみが完全にないことはあり得ないし、色の非常な多様性にも驚くことではありません。
自然は1つ1つの結晶に独自の特徴を与えるので、潜在的な美と加工仕上げした石の価値の大半が原石結晶中に眠っています。
これを我々が変えることはできませんが、カッティングという人間の役割によって、それぞれの石が最高に見えるよう手助けすることはできます。
カッターは原石結晶の特徴を、最も価値が高く望ましい組み合わせにして見せ、あまり好ましくない特徴は(できるなら)除去したり隠すように努力しています。
彫刻家が大理石のかたまりを前にして形のイメージを思い浮かべるように、カッターは結晶の中に単数(または複数)の宝石の想定ができなければなりません。
カッターの観点と腕と注意力(そして運)によって、潜在的な美と価値が、加工仕上げした石にいかに多く現れるか決まるのです。
ここではあなたの目がブルーやブラウン、ブラックであるように、ファッション加工したダイヤモンドの特徴の多くが遺伝的なものであることを憶えておきましょう。
特徴を測定して一覧表にし、比較することはできますが、それはあるダイヤモンド(または1人の人間)が別のダイヤモンド(または人間)より優れているとか美しいということにはならないのです。