きれいに形成した未カットの鉱物原石を最初に見た時、自分の目が信じられないことがあります。
「地中からこんなふうに出てくるの?」とたずねたくなります。
多くの結晶が示している完璧な対称性や驚くべき形状を考えると、これは容易に理解できます。
これに対し、ある原石(大抵の人が価値のない小石として捨ててしまうもの)には、そのさえない外面の下に熟練したカッターであれば、一目で思い描ける美しさの可能性を隠しているものもあります。
別の結晶は、インクルージョンの著しいため宝石用にカッティングするには向かず、工業用として使用されます。
しかし、どのように見えどのような可能性があっても、すべての結晶には結晶をそのようにしている明確な組成および構造があります。
実際に、ダイヤモンドを独特なものにしようとしているのはその結晶構造です。
ダイヤモンド概観の項に既出の通り、ダイヤモンドは地球でも特に、ありふれた元素であるほぼ純粋な炭素でできています。
ダイヤモンドとして結晶化すると地球の産出物のなかで最も稀少で、高価なしかも美しいものの1つとなるのです。
既にダイヤモンドの価値を決定する要素(4つのC)に関しては学びましたが、ここで学ぶことは宝石学の仕事全般に有用となるでしょう。
特に、この時点で鉱物および結晶に関し、多少詳しく知る必要があります。
「なぜ、これを売り場でどう利用できるのですか?」という問いもあるかもしれません。
しかし実際に、結晶学と関連させなければ答えられないような質問をする顧客もいます。
宝石の科学的側面に純粋に興味を持つ顧客もいますので、結晶が成分原子からいかに構成されるかを知っておくことは大切です。
ダイヤモンドが何ででき、いかに形成されるかを知っていれば、あることでこれらの商品知識が人々を説得するのに役立ち、ダイヤモンド購入に関して健全なアドバイスができるのです。
さらに、ジュエリー業界での実績を積むにしたがって原石を購入したり、カッターと仕事をすることもあるかもしれません。
会社が成長し、仕事も広がるには、そこで働く人間も成長した場合だけなのです。
鉱物学および結晶学は魅力的なテーマです。
ここではショーケースにあるダイヤモンドの基本的な内部の性質を検討することになります。
これは宝石学の専門知識の間奏曲のようなものです。
基本的概念であり、特にダイヤモンドのカッティングの理論と実際を理解する際に役立ちます。
ダイヤモンドの内部結晶構造がいかに原石結晶の外形を形作り、カッターの用いる技術を決定するかを学びます。
結晶の基本的性質は加工仕上げした宝石の4つのCに影響を及ぼすのです。