この理由から、様々なグレードに分類したダイヤモンドの全体的特徴を可能な限り詳細に説明することが重要です。
大半のダイヤモンドのクラリティ特徴は顕著です。
千個のダイヤモンドが同じクラリティグレードにグレーディングされたとしても、個々の特徴は異なっているでしょう。
このためクラリティのグレーディングには常に専門家の見解次第となる部分があります。
焦点合わせの問題、および平面という印刷の性質のため、拡大下で見えるよう正確にダイヤモンドの写真を撮るのは不可能である事を覚えておきましょう。
比較的高いグレード間の微妙な違いを写すのは特に困難です。
以下の用語体系はGIAジェムトレードラボラトリー及び世界中のジュエリー専門家によって使用されているものです。
これは大半のジュエラーが必要としているものより範囲が広く詳細であると思われますが、可能な限り全てを網羅するよう意図したものなので、業界で使用されている他のグレーディングシステムの分析、比較に使用することができます。
この説明は、主にジュエリーリテーラーが通常販売するサイズのラウンドブリリアントに適用します。
インクルージョンは、ファンシーシェイプや大きめの石の方が見やすいことが多くなります。
このスケールは11のグレードで構成され、それはフローレス、インターナリーフローレス、2項目ずつのベリーベリースライトリーインクルーデッド(VVS1-VVS2)、ベリースライトリーインクルーデッド(VS1-VS2)、スライトリーインクルーデッド(SI1-SI2)、及び3項目のインパーフェクト(I1-I2-I3)です。
フローレスのダイヤモンドは、熟練したグレーダーが10倍の拡大で検査して、いかなる種類のインクルージョンやブレミッシュもないもの。
GIAジェムトレードラボラトリーでは石をフローレスとグレードするには、グレーダーは双眼顕微鏡とルーペ双方による検査を行っている。
以下の状態は例外としてフローレスとみなされる。
●石をフェースアップで見た場合に見えないパビリオン上のエクストラファセット。
●ガードル幅に限定された小さいナチュラル(ガードルが厚くない場合に限る)。
●反射せず、白っぽくなく、無色で、透明度に重大な影響を及ぼさない内部グレイニング
ナチュラルがダイヤモンドのクラリティグレードにどの程度影響するかには見解の相違がある。
ナチュラルがあると石はフローレスやインターナリーフローレスでさえなくなるという意見から、ほぼあらゆる大きさのナチュラルのある石をフローレスと分類してもよいという意見まである。
GIAは「中道」をとっている。
ナチュラルがガードルの幅以内に限定され(ガードルが厚い場合を除く)平坦な部分やへこみを作って石の対象性に影響を与えていない場合、これを識別特徴と考え、クラリティグレードに影響しない。
これに対し、ナチュラルがガードルの輪郭を平坦にしたりへこませている場合、もしくはフェースアップで見える場合は、クラリティグレードに影響する。
インクルージョンがないが、軽度の表面ブレミッシュのあるダイヤモンドに該当する。
表面のグレインライン、ナチュラル、クラウン上のエキストラファセット等の特徴があると、ダイヤモンドはフローレスではなく、インターナリーフローレスとなる。
インターナリーフローレスに分類されたダイヤモンドは、熟練したダイヤモンドグレーダーが10倍の拡大で検査した場合に、内部にいかなる欠陥もあってはならない。
わずかな再研磨で除去可能な微小なブレミッシュがインターナリーフローレスをフローレスのグレードから区別している。
例外となるのは、通常再研磨で除去できないわずかな表面のグレインラインのあるダイヤモンドである。
このグレードは、熟練したグレーダーでも10倍で見るのが困難な微小なインクルージョンのあるダイヤモンドを意味する。
VVS1の例には、微小なピンポイント、ヘアライン、フェザー、もしくはベゼルファセットに見える1、2個のピンポイントが挙げられる。
VVSを正しい相関関係でとらえるには、これが大半の供給者や小売ジュエラーによる最高のクラリティグレードを意味していることに注意しなければならない。
単にこのような微小なインクルージョンが見えにくいために、VVSグレードは、しばしば(不当表示を意図せずに)フローレス、もしくはパーフェクトなダイヤモンドとして表示されている。
反射する内部グレイニング、ひげ状ガードル、軽度のブルーズ、小さなキャビティ等があると、その程度によるがVVS1もしくはVVS2になるのに十分である。
VSグレードでは10倍でインクルージョンが明確に見えるが、外観では軽度で小さいと特徴づけられる。
このグレードのダイヤモンドは、小さな内包結晶、小さなクラウド、小さなフェザー、もしくは数個のピンポイントの特徴がある。
これらのグレードのインクルージョンは石の美しさや耐久性に影響しない。
このグレードは10倍で見てインクルージョンが顕著もしくは非常に見えやすい石を意味する。
典型的な特徴には、クラウド、インクルーデッドクリスタル、ノット、チップ、ピット、キャビティおよびフェザーがある。
通常、幾つかの例外を除き肉眼で見ても何も見えない。
これらのグレードは10倍で顕著、もしくは肉眼で見えるインクルージョンのあるダイヤモンド、及び大きなクリベージもしくはフェザーに囲まれた大きな内包結晶のように耐久性に重大な影響を及ぼすインクルージョンのあるダイヤモンドを含む。
これらのグレードには透明度や輝きに影響するほど多数のインクルージョンがあるダイヤモンドも含まれる。
I1、I2およびI3の相違は程度の問題である。
実際にジュエリー市場では大量のI1およびI2が流通している。
例えば特に強力に宣伝している商品はこの範疇に入る。
これは簡単に認められるが、Iへ分類された原因を顧客に指摘しなければならないことが多くなるが、顧客は説明してもらうと喜ぶであろう。
I3最低の項目で、透明さを欠くダイヤモンド、および肉眼で大きなクリベージや暗いインクルージョンが容易に見えるダイヤモンドを含む。
これらは実際に工業用の石との境界線で、これが工業用、宝石品質いずれにグレーディングされるかは市場の需要に左右される。
ガードルもしくはその付近に見えるインクルージョンがある大きい石はIグレードにならないこともある。
これは、Iグレードとしての価値よりはるかに少ない価値損失でインクルージョンを除去できるからである。
このような石を鑑定ではIとグレーディングしても、再カットしたグレード及びインクルージョンの除去による重量減少に基づいて価値を評価するダイヤモンド専門家もいる。