必ず聞かれる質問に、様々なクラリティ特徴とは実際に何であるのか、どのようにしてそれが石の内部におさまったのか、ということがあります。
答には3通りあります。
ダイヤモンド形成時の状況によるもの、カッティングプロセスによるもの、及びカット後に石に発生した出来事によるものです。
様々な要素により、成長している結晶の原子の配列が不規則となることがあり、これによっていわゆるグレイニングが生じます。
グレイニングはかすかな線(1本または数本の束・平行な事もあり、交差している事もある)で、石の曇った部分や線のような部分のように見えることもあります。
インクルーデッドクリスタル(内包結晶)は他の鉱物の結晶が単独の場合と郡になっている場合があり、大きさも様々です。
微小なものをピンポイントと呼び、極めて微小なものの集団(小さすぎて高い倍率でも個々に見えないもの)をクラウドと呼びます。
内包ダイヤモンド結晶はノットと呼ばれます。
もし、ノットが母体結晶に完全に閉じ込められているなら、見えないでしょう。
もし、カッティングによって、石の表面に出た場合、拡大するとノットと母体結晶の境界がしばしば見うけられます。
石の表面まで及んでいる内包ダイヤモンド結晶はノット(結び目)と呼ばれます。
1個の小さなダイヤモンド結晶が、親結晶に完全に囲まれている場合、これは単に内包結晶として分類されます。
拡大すると、親結晶やノットの境界が分かることが多くあります。
不規則な構造、内包結晶、もしくはノットによるひずみが原因で、石に割れが生じることがあります。
これは基本的にクリベージとフラクチャーの2種類があります。
クリベージは、結晶の原子配列パターンの特定の方向に平行な割れで、木目に沿って裂けた木材に非常に似ています。
フラクチャーは理論的にはクリベージ方向以外のあらゆる方向の割れですが、実際には大抵のダイヤモンドのフラクチャーは階段状で、クリベージを小さいフラクチャーでつないだものです。
ほとんどのジェモロジストは大きなクリベージを除きあらゆる割れに一般的にフェザーという用語を用いています。
クリベージは十分に調整できるので、カッターはこれを利用して大型もしくは不規則な形のダイヤモンド原石を分割する事もあります。
クリベージの方向は結晶の原子配列の最も弱い面となっているので、衝撃の結果発生したり拡大したりします。
これは石をジュエリーにセットして着用する場合にほとんど問題とはなりません。
ダイヤモンドにはカッティング中に大きな力がかかっているので、カッティングに耐えたダイヤモンドは通常の着用にも耐えられるはずだからです。しかし、強い衝撃は場所によっては、どのようなダイヤモンドにも欠けや割れ目を生じさせることがあります。
カッターは可能な限りクラリティ特徴を減らし、残ったものはファセットや反射で隠れるような位置におこうとします。
同時に、カッティングによって新しい特徴が生じる事もあります。
結晶の原石表面の一部をファッション加工した石に残すとナチュラルとなります。
同様に、ブレミッシュを除去したり、わずかなカッティング上のずれを修正するため小さいファセットを加えると、エクストラファセットが生じます。
まずブリリアントのガードル輪郭をカットする場合(この工程はブルーティング、ラウンディングアップまたはガードリングと呼ばれています)、この石を旋盤に固定して他のダイヤモンドで形を作ります。
これを慎重に行わないと、ガードル表面から石の内部に向けて小さなフェザーでできたひげ状(ベアディング)が生じる可能性があります。
カッティングで時折、石の表面にピットやキャビティと呼ばれる空隙が残ります。
これらはカッティングにより内包結晶やノットが表面に出て、それが取れてしまった時に生じます。
ファセット加工によりスクラッチやホイールマーク(小さい平行なスクラッチ)が残ることもあります。
ダークインクルージョンまでとどく小さな穴を開けるにはレーザーを使う事があります。
このレーザードリルホールから化学薬品を入れて、インクルージョンを漂白し目立たないようにするのです。
ファッション加工された後でも、ダイヤモンドにさらにクラリティ特徴ができることもあります。
宝石箱の中でジュエリーが擦れ合うと、しばしばスクラッチや磨耗が生じることを顧客に警告しましょう。
強くぶつけたためチップ、ニック、およびブルーズ(呼び方はその位置と大きさによる)が残る事があります。
ダイヤモンドは脆いと顧客に言う必要はありません。
ダイヤモンドは脆くないからです。
しかしこれは貴重品であり、手荒く扱われるべきではないのです。
クラリティ特徴はブレミッシュかインクルージョンに分類されます。
原則として大体ブレミッシュが石の表面にあり、インクルージョンが内部にあるとされていますが、その区別は特徴の大きさや程度に左右される場合があります。