販売するダイヤモンドの大半は標準的色範囲ですので、美しさへの影響を誇張せずに、カラーグレードの価値への影響を説明するのは非常に困難です。
これは成功するために欠かせないことです。
何故なら、カラーは価値を極める間違いなく大きな要素だからです。
他のCを説明してもカラーを「とばす」と、顧客は価値に関してすべてを聞いた事になりません。
顧客が競争相手の店を見て、そこにクラリティグレードや重量が、あなたの店と同じで価格ではるかに安い石を見る事もあるのです。
カラーを指摘しておけば、顧客はそれが相違点であることに気付きますが、指摘しなければ販売の機会を失う事になります。
カラーグレーディングにおいて、扱う差はわずかですが、確かに差は存在し、適正な環境のもとでは大抵の人にそれが見えます。
顧客に話の内容を理解しやすくするには、日常生活から例をとることです。
例えば、ダイヤモンドグレード間の違いとは、紙の「白さ」の違いのようなものであると言えます。
「白い」紙を集めて比較してみます。
本のページから始め、ティッシュ、新聞紙の縁、タイプ用紙、小さいインデックスカード、高級雑誌の縁を加えます。
この白さの違いが、ダイヤモンドのグレード間のカラーの段階に似ていると指摘します。
「無色」のガラスもこれに似ています。
ダイヤモンドと同じ様に、ガラスも通常、無色と考えられています。
しかし様々なガラスを取り出して並べてみると、明確な色の違いが見えます。
マスターストーンと照明器具があり、適切な安全が保てれば、裸石を用いて実際に色を見せることができます。
その石とは十分に離れた色のマスターを取り上げ、顧客に違いを見る良い機会を与えます。
「カラーグレードの違いがこれほど分かりにくいのなら、何故こんなに大騒ぎするの?」と尋ねる顧客もいます。
その理由の一部は伝統にあります。
ダイヤモンドの専門家が常に無色の石を高く評価し、この意見が一般消費者の態度に影響を与えたのです。
別の理由として、消費者には不可能でも専門家には違いが認められるということがあります。
そして最も高価なものだけしか買わない顧客がいるのです。
美術の世界にある似たものを用いてみましょう。
本物のレンブランドは100万ドルの価値があるかも知れませんが、上手な複製画は普通の目では原画と区別がつかなくてもわずか数百ドルの価値しかありません。
多くのコレクターには原画と上手な複製画とを判別する知識はありませんが、その知識のある専門家がいて、買い手はそのアドバイスに頼っています。
顧客にとってはあなた達が専門家なのです。
色および外観への色の影響を話す時は、自分の色の好みで説明の効果を妨げないように注意しましょう。
本当の無色のダイヤモンドはごく一部しかないので、大抵の人は少なくともわずかに色味の付いた石を購入しています。
それを「オフカラー」もしくは「劣った色」と言うと、美しい宝石の魅力を半減し、販売にとって致命傷となります。
(お金があってもレンブランドの原画より複製を買う人の方が多い事を忘れない事。)
実際に、わずかな色味のあるダイヤモンドの方が無色のものより暖かく魅力的だと思っている人もいます。
色と価値や外観に対する色の影響を説明し、顧客の意見がいずれへ傾こうと中立的態度を崩さず、選択の幅を制限してはなりません。
標準範囲のダイヤモンドを販売するには、顧客が理性を働かせるのを手伝わなければならないこともあります。
友人の意見(「ええ素敵よ。でも黄色なんじゃない。」)でダイヤモンドを返品する顧客も一人や二人ではありません。
これを防止するには顧客を少々指導し、防御手段を教えます。
例えば、「何が自分の欲しいものかわかっているのに、何故人の意見を気にするのですか?」、あるいは「色の付いているダイヤモンドの方が魅力があって個性的だと思う人も多いのですよ。」と言ってみます。
常にダイヤモンドが無色と思い込んでいる顧客が、同価格の標準範囲の石と比較して、珍しく斬新で個性的なファンシーカラーに魅了される事があります。
1970年代初期から米国ではファンシーダイヤモンドの人気が高まっています。
処理石も現在では人気があります。
処理石から始めて次にイエローやブラウンのように比較的価格の低い天然を加え、ファンシーカラーダイヤモンドに手を広げた小売商もいます。
顧客がファンシーカラーの石の枠を選ぶ時には、ふさわしい地金を勧めることを心掛けましょう。
ホワイトの地金は無色、ブルー、ブルー・グリーン、ライト・グリーン、及びパープルのダイヤモンドに似合います。
顕著な色味のあるグレードでもホワイトの地金は一般に枠の爪およびヘッドに最適と考えられています。
イエローゴールドはイエローイッシュグリーン、イエロー、ブラウン、オレンジ、ブラウニッシュまたはオレンジィレッドとともに大半の標準範囲の色を良く見せる傾向があります。
何が役立つかは、顧客、競争相手、自分自身の知識及び工夫に左右されます。
現在のダイヤモンド市場で色を最大限に活用するには、まず自分自身から始めなければなりません(ダイヤモンドの美しさの全範囲を受け入れることを学ぶ)。
つまり個々の石を自然のユニークな奇跡とみなすのです。
その後に自分の情熱を顧客と分かち合う方法を探しましょう。